舞台は整った。
わいわいG熊本Cチーム。
熊本県クラブ対抗ソフトテニス大会 12部決勝。
今まで1ペアも落とすことなく完全勝利で決勝まで勝ち上がっていったこのチーム。
最後の最後でドラマが待っていた。
2面同時進行。
先に終わったのは作田・押川ペア。
足を故障している作田氏のカバーの為、守備範囲を通常以上に広めて戦っていった結果、想像以上の負担が押川氏の足に負担がかかっていた。
試合中、時折足を引きずりながら積極的にポーチへ行く。
その執念が勝利を引き寄せた。
そして、そう時を待たずして笠・本部ペアが終了。
こちらは残念ながら敗北。
リーグ戦から決勝トーナメントまで、全て3番手。
1-1で回ってきたら俺に任せろ!と思っていたのか…。
それとも、2-0でまわしてくれと他力本願的な心境でいたのか…。
それは本人しかわからない。
しかし、現実にまわってきた。
決勝戦 3番手勝負。
勝てば優勝。
このプレッシャーの中どういう心境だったのか。
試合を間近に控えた彼の顔を見ればそれは一目瞭然だった。
「西山さ~ん!3番手勝負ですよ~!がんばれ~~~!!」
チームメイトから激が飛ぶ。
西山さんは…
《鳩が豆鉄砲を食らったような顔》をして立ちすくんでいた。
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朝から雨が降ったり止んだりの中途半端な天気。
この日の参加は全部で24名。
Aチーム(2部)
吉田・服部、青木・宮本、阿南・東
Bチーム(7部)
村山・田嶌、野田・角、村上・山口
Cチーム(12部)
作田・押川、笠・本部、西山・大坪
Dチーム(12部)
木實・作田妻、前田・西村、上坂・石橋
珍しく会場は全員同じ。運動公園メインテニスコート。
12部は18チームのエントリーと思われていたが、結局参加は15チーム。
4チームリーグ3つと3チームリーグが1つで決勝トーナメントという流れになった。
C・Dとも4チームリーグとなり各リーグ2面使用の為、試合に入りっぱなしとなってしまった。
前田氏はDで参加。よって他のチームの試合状況が全くわからなかったが、聞いた話などをまとめる。
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Aチーム。
全員不調。だが、メンバーが通常の調子であれば問題なく戦えるレベルとの事。
これは、たまたまこの日の相手がそうであったのか、それともチームメンバーの実力が上がったのか。
後者だといいなぁ。
結果としては4戦全敗。
完敗で次回3部リーグへ。
吉田氏…「俺はもうAチームでは出ない!」宣言。
どういう意図かはわからぬが、そんなわがままは通じない。
みんなが出ろといったら出るのだ。
宮本氏(クレーマー)…「通用しませんでした…。」
ん~。悲壮感が漂う。
彼はその日の打ち上げで店員さんに対して鬱憤を晴らしていた。
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Bチーム。
前田氏「どうだった?」
村山氏「多分上がりです。」
村山氏終始ニコニコ。6部昇進を確信していた。
結果は2勝1敗。
今対戦しているアタックCと菊池郡市Bの試合で、アタックCが②-1で勝たない限り確実に上がる。
もしそうなっても得失ゲーム差等での勝負になるので、3位になる可能性は薄い。
いやむしろそうなったほうが1位の可能性が出ていいかも。くらいの認識だった。
で、放送が流れる。
「アタックC・菊池郡市B・わいわいG熊本Bの代表者の方は本部まで…。」
角氏が本部へ登場。
前田氏、なんかいやな予感がする…。
結果発表…。
「ポイントを集計した結果…優勝…わいわいG熊本!」
お、やった!と思ったその時、発表した方が慌てだす。
「あ、あ、ちょっと待って!あ、間違えた!間違えた!」
…そう、ポイントではなく、まずゲーム差を数えなきゃ…。
で、再計算の結果、アタックCが優勝。
菊池郡市とわいわいG熊本は同数。
で、直接対決で敗退しているので、結局3位。
いやな予感は当たった…。
7部残留。
その後は責任の擦り付け合い…in打ち上げ。
(あの時村山君が…。いやいやそれを言うなら初戦角さんカチコチで立て続けて3ゲーム取られたから…etc…)
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Dチーム。
初戦デコポン。
木實・作田ペア。
リードされている展開からファイナルまで追いつき、逆転勝利。④-3
和恵氏調子が余りよくない。ポジションが外側過ぎた。
が、木實氏は体力は無いが本来技術は持っている。ファイナルゲームになってボールのスピードが倍に上がる。
上坂・石橋ペア。
サー-ビスゲームを④-0で取った後の第二ゲーム。
1本目。上坂のストローク。
………上段にボールが突き刺さる…。
ネットではない。
フェンスである。
推定飛距離35メートル。
約20メートルアウトた感じだ。
ラケットは約70センチなので、ラケット約30本分アウト。
2本目は少し抑えてストロークするも、やはり大アウト。
上坂氏、打つのをあきらめる。
でもなんとか丁寧に入れるテニスを展開し、④-2で勝利。
これでチームとしては勝ち。
が、これはリーグ戦。1つの勝ち星が大きく結果を左右することがある。
前田・西村ペア。
前田氏前衛ながら、西村氏のレシーブは左側がいいだろうと考え右側に入る。(西村氏が後衛。)
相手は上手なオジサン達。
が、勝負どころをサービスエースなどで無理やり奪取し、結果④-1で勝利。
リーグ最強チームを③-0で撃破。
このメンバーで、いきなりリーグ突破が見えてきた。
しかし、そう甘くは無かった。
2戦目。
熊大医学部C。
1番手、木實・作田ペアの相手は、後衛は元気で上手な女の子。
なんとなくフレッシュさで負けていた。仕方ないよね。相手が輝いて見えたよ。
先ほどの試合と同じく序盤リードを許し、後半巻き返す。が、今回は力尽き敗退。
上坂・石橋ペアも敗退。
今度は上坂が後衛ではなく、交互に展開に応じてお互いに前に行ったり後ろに行ったり。
かみ合う部分も多かったが、ミスも響いた。敗退。
ココも強いと感じた前田ペア。
コレで勝利しておけば、3つ巴になる可能性が高く、さっきの③-0の勝利があるのでリーグ優勝の可能性が高いと確信。
前田・西村ペア。
前田氏、左右のアンダーカットを駆使しつつ若干足の負担を温存。
前衛でのダッシュが、足に負担が大きいため、後衛をする。場合によってはダブルフォワードスタイルになりポイントを重ねる。
④-2で勝利。
結果1-②で敗退。だが優勝へ大きく近づく。
3戦目
帯山クラブD(現在2敗)
ココに勝ち、デコポンが熊大医学部Cに勝てば優勝。
と思っていたが…。
1番手の相手の女の子達が結構上手い。
予想外だが、木實・作田ペア敗退。
2番手、相手は本当のご老体。寺本さん達。
しかし、上坂・石橋ペアのストロークの調子の悪さは想像以上だった。
前衛でならいい動きをするんだけどなぁ。特に上坂氏のスマッシュ、石橋氏のポーチ。だがやっぱり後衛無しでは難しかったようだ。
まさかの敗退。
3番手、前田・西村ペア。
④-1勝利。
結果1-②で敗退。
リーグ4位。
ココまで、西村氏の活躍がほとんど語られていないのは…。
ご存知の方も多いと思うが、前田氏は今回左足親指の付け根の骨を負傷したまま試合に参加。
足を引きずりながらプレーしている為、当然相手は前田氏を狙ってくる。そのため西村氏にはほとんどボールが飛んでこないという悲劇が発生してしまった。
西村氏…相当前田氏を恨んでいるようだった。が、1本だけ、中学以来、実に20年以上ぶりに気持ちよい最高のスマッシュが打てたらしい。
この感動が大きすぎて、前田氏への不満は若干解消されたようだ。
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そしてCチーム決勝戦。
3番手勝負の試合が始まる。
西山・大坪ペア。
西山氏…声が出ていない。
明らかにいつもの西山氏と違う。
西山氏は、集中すればするほど下を向いて試合をする。
勝っているときは良い、が負けている時は声も通らず悪循環に陥る。
やばい状態だ。この緊張感はルーキー大坪氏にも伝染する。
いいタイミングで勝負にいったポーチボレーだが、ボールをガットの中心で捕らえられない。
流れが悪い。
1・2ゲーム目を連続で落とす。
3ゲーム目辺りから大坪氏にも若干当たりが出だす。
西山氏の打点もどんどん下がっていく。
西山氏の場合、打点が下がると結果的にボールが鋭くかつ短くなり、若い人以外には有効なボールとなる。(足が動かない人が多いため。)
結果的に3・4ゲーム目を押し切り2-2のイーブンに戻す。
4ゲーム目の最後2ポイントは大坪氏のポーチボレー。
流れはこちらへ傾いた…とおもったらあちらへとなんだかよくわからないが大接戦となる。
5ゲーム目を取り、このまま勝利かと思いきや、6ゲーム目を落とし、ファイナルへ。
ファイナルゲーム。
0-1
0-2
いきなりまずい。
大坪氏にもミスが出る。
1-2
1-3
これ以上はなされるとまずい。
2-3
3-3
よし、追いついた。
3-4
4-4
5-4
6-4
マッチポイント。
大坪氏が勝負に出る。
フォアのポーチボレー。
タイミングばっちり。
…
誰もが決まったと思った。
が、ボレーは無常にもサイドアウト。
6-5
まだリードしている。
ラリー展開になる。
1本ごとに息が詰まる。
そして何本かラリーを重ねたのち…。
確かに西山氏の打ったボールが相手の右横を通り過ぎていった…。
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そして彼は伝説《Legend》となった…
…(自称)
…
…
…
そう、伝説になるはずだった。
前田氏の見解では、西山氏は会社で今年5月中に辞令を受け6月~7月に県外逃亡するはずであった。
辞令が出れば、引継ぎの為忙しくなると聞いている。
昨年より、今年は辞令が出る可能性が高いといっていたし、もう5月には大会がない。6月に大会はあるがその時は忙しいはず。
よって、本大会が、西山氏のわいわいG熊本の最終戦になる可能性が高いと思っていたのだが…。
西山氏…
「いやいや、最後じゃないですよ!辞令?そんなもん断るよ!」
いや本当かどうかはわからない。
が、取り合えず6月の大会には出る気満々のようだ。
…
自称伝説却下。